求人広告の書き方は、4つのステップと具体的な例文を活用することで応募が集まる内容になります。法律で定められた必須記載事項から禁止表現まで、採用成功に必要な知識を体系的に解説します。

「求人広告を出しても、なかなか応募が集まらない」「どう書けば求職者に響く内容になるのかわからない」このような悩みを抱える採用担当者の方は決して少なくありません。

求人広告は、企業と求職者をつなぐ大切な窓口です。

しかし、ただ基本情報を並べるだけでは他社に埋もれてしまい、欲しい人材には届きません。

本記事では、応募を集める求人広告の書き方を例文付きで解説します。

基本の手順から文章作成のコツ、気をつけるべき法律上のルールまで、採用成功に必要なポイントを整理してご紹介します。

求人広告の作成手順丨効果を出すための4つのステップ

転職活動中の人は限られた時間のなかで複数の企業を比較し、自分に合う職場を探しています。

そんな状況で関心を引き、応募につなげるには、相手のニーズを理解し、響くメッセージを届けることが大切です。

ここでは、効果を出すための4つのステップについて解説します。

Step1.採用ターゲットを明確にする

最初にやるべきことは、採用したい人材のペルソナ（代表的な候補者像）を具体化することです。「経験者歓迎」「やる気のある人」では、誰にも刺さりません。

【設定項目の例】

年齢／現在の職種・業界／年収帯／保有スキル・資格／居住地や通勤手段／家庭状況／働き方の希望（残業・リモートなど）／価値観やライフスタイル

さらに重要なのは「現職への不満」と「転職で実現したいこと」を深掘りすることです。

たとえば、次のような動機が考えられます。

● 給与や評価を正当に上げたい
● ワークライフバランスを整えたい
● スキルアップ・キャリアアップの機会を増やしたい
● 人間関係のストレスを減らしたい
● 社会的な意義ややりがいを感じたい
● 安定性の高い会社で腰を据えて働きたい

この動機が分かれば、訴求の軸も決まります。

給与改善が目的なら報酬と評価制度、成長が目的なら裁量や学習支援、働きやすさが目的なら勤務時間や柔軟な制度を、冒頭で明確に打ち出します。

Step2.ターゲットに合う媒体を選ぶ

採用ターゲットが定まったら、次は「どこで出すか」です。

どんなに優れた求人広告でも、ターゲットが見ていない場所に載せてしまえば効果は出ません。

求人媒体にはそれぞれ特徴があります。

● 総合型サイト：幅広い層に届きやすく、知名度も高い

● 転職エージェント：専門スキルや管理職層に強い

● 業界特化型サイト：IT、医療、介護など専門人材に効果的

● 地域密着型媒体：地元勤務を希望する人材を集めやすい

● SNS採用：若年層や情報感度の高い人材と相性がよい

選定の際は、利用者層だけでなく「掲載料金」「期間」「原稿サポートの有無」もチェックしましょう。

Step3.自社と仕事の特徴を整理する

求職者に「ここで働きたい」と思ってもらうには、自社や仕事の魅力を客観的に整理することが欠かせません。とはいえ「当たり前すぎて気づかない」「特別な魅力がない」と感じる企業も多いものです。

そんなときは、3C分析を使うと整理しやすくなります。

1. Company（自社）：事業内容、強み、社風、働きやすさ、将来性
2. Competitor（競合）：同業他社と比べたときの違いや独自性
3. Customer（求職者）：ターゲットが重視する価値観や転職の目的

さらに、部署を跨いでブレインストーミングを行うのも効果的です。

次のような観点から、意見を出し合ってみましょう。

● 他社にはないサービスや技術

● 働きやすさを支える制度や環境

● 成長につながる学びやキャリアパス

● 社員同士の関係性や企業文化

● 業界での立ち位置や将来性

忘れてはいけないのは、自社では「当たり前」になっていることも、求職者にとっては十分に魅力として映るケースがあることです。

たとえば「残業が少ない」「有休が取りやすい」「研修制度が整っている」などが好例でしょう。

Step4.採用ターゲットにとって魅力となる情報をアピールする

自社の特徴を整理したら、次は「何を前面に出すか」を決めます。

ここでありがちな失敗が「よい点を全部盛り込もう」とすることです。

求職者は限られた時間で多くの求人を見比べます。

情報を詰め込みすぎると結局印象に残らず、何が魅力なのか伝わりません。

【実際の記載例】

● ワークライフバランス重視→「年間休日125日、有給取得率95%」

● スキルアップ志向→「資格取得支援制度あり、外部研修参加可能」

● 安定性重視→「創業50年、業界シェアNo.1」

【例文付き】応募したくなる！魅力的な求人広告の書き方

求職者が知りたい情報には一定のパターンがあります。

大切なのは、基本情報を並べるだけでなく、読み手の立場に立って「自分にとってのメリット」を伝えることです。

ここからは、具体的な例文を交えながら、各項目を魅力的に見せるポイントを解説します。

タイトル・キャッチコピー

タイトルは求人広告の「顔」です。検索結果や一覧で最初に目に入るため、数秒で興味を引けるかどうかが勝負になります。

【効果的なタイトルのポイント】

● 30～40文字で簡潔にまとめる

● 職種名を明確に入れる

● 働くメリットや会社の特徴を示す

● 数字や条件を具体的に書く

このように「自分にもできそう」「この条件なら働きたい」と思える具体性が重要です。

会社紹介（現状や展望）

会社紹介は、求職者が「ここで働く自分」をイメージできる大切なパートです。

事業内容を並べるだけでなく、社会への貢献・強み・将来性・文化を伝えましょう。

【盛り込みたい要素】

● 事業内容と社会への役割

● 市場での立ち位置や強み

● 今後のビジョンや成長戦略

● 企業文化や大切にしている価値観

このように、具体的な事業と未来の方向性を示しつつ、働く価値が伝わる紹介文を心がけましょう。

職種名

職種名は、求職者が仕事内容をイメージする最初の入口です。

「営業」「事務」といった大まかな表記だけでは、具体的な業務内容が伝わりません。

【効果的な職種名の付け方】

● 業務内容がひと目で分かる

● 顧客や商材を明記する

● 働き方の特徴があれば補足する

業務内容

業務内容は、求職者が最も気にするポイントのひとつです。

「どんな仕事をするのか」を具体的に描けるかどうかで、応募意欲が大きく変わります。

【書き方のコツ】

● 1日の流れを示す

● 具体的なタスクを箇条書きにする

● 業務の比重を数字で表す

● 専門用語は避け、誰でも理解できる表現にする

このように仕事内容を数字や具体例で示すと、求職者は「その企業で働く自分」をイメージしやすくなります。

募集の背景

「なぜ今、このポジションを募集しているのか」を伝えると、求職者は安心して応募できます。

背景が分かることで、入社後の役割や期待値もイメージしやすくなるためです。

求める人物像・応募資格

求める人物像や応募資格は、求職者が「自分に合っている」と判断する基準になります。ただし条件を厳しくしすぎると応募数が減るため、必須条件（MUST）と歓迎条件（WANT）を分けて明記することが大切です。

具体的なスキルと人物像を分けて書くことで、求職者は「自分は応募対象かどうか」を判断しやすくなります。

働く環境

働く環境の情報は、求職者が入社後の姿をイメージするうえで欠かせません。

とくに職場の雰囲気や人間関係、福利厚生は多くの人が知りたいポイントです。

【記載しておきたい要素】

● 職場の雰囲気や人間関係

● 社員構成（年齢層、男女比など）

● オフィス環境や設備

● 研修制度や教育体制

● 福利厚生や各種制度

数字や実績を交えると信頼感が増します。また、マイナス面も正直に伝えることで、入社後のギャップを防げます。

さらに写真や動画を使えば、オフィスの雰囲気や社員の様子をリアルに伝えられます。

SNSと組み合わせて発信すれば、より多角的に企業の魅力を届けることができます。

求人広告に必ず記載しなければならない項目

求人広告には、職業安定法で明示が義務付けられている項目があります。これらを正しく記載することは、法的トラブルを防ぐだけでなく、求職者との信頼関係を築くうえでも欠かせません。

また、2022年10月の法改正 により、求人情報の表示ルールはさらに厳格化されました。虚偽や誇大な表現は処罰の対象となるため、正確さを最優先にすることが重要です。

業務内容

業務内容は、求職者が最も知りたい情報のひとつです。日常的にどんな業務を担当するのかを具体的に示しましょう。また、将来的に配置転換の可能性がある場合は、その範囲も必ず明記します。

契約期間

契約期間の表記は、雇用形態によって変わります。正社員であれば「期間の定めなし」と明記し、契約社員の場合は具体的な期間と更新の有無を示しましょう。

【記載例】

試用期間

試用期間を設ける場合は、期間の長さと、その間の労働条件を明記する必要があります。本採用後と条件が異なる場合は、具体的な違いをはっきり示しましょう。

【記載例】

就業場所

実際に働く場所を正確に記載します。複数の勤務地がある場合や、将来的に転勤の可能性がある場合はその旨を明記します。

【記載例】

就業時間

始業・終業時刻、休憩時間を明記します。シフト制や変形労働時間制を採用している場合は、その詳細も記載する必要があります。

【記載例】

休憩時間

労働基準法で定められた休憩時間を確実に付与することを明記します。

【記載例】

休日

「完全週休二日制」と「週休二日制」の違いに注意して正確に記載します。

【記載例】

時間外労働

36協定にもとづく時間外労働の上限時間と、実際の月平均残業時間を記載します。実態との乖離がないよう注意が必要です。

【記載例】

賃金

基本給、各種手当、賞与について具体的に記載します。固定残業代を採用している場合は、とくに詳細な記載が必要です。

【記載例】

加入保険

法定の社会保険への加入状況を明記します。

【記載例】

募集者の氏名

実際の雇用主となる企業名を正確に記載します。グループ会社との混同を避けるよう注意が必要です。

【記載例】

受動喫煙防止措置

2020年4月 の健康増進法改正により記載が義務化されました。

【記載例】

派遣労働者として雇用する場合

派遣労働者として雇用する場合は、その旨を明記する必要があります。

【記載例】

【注意】求人広告で使用してはならない表現

求人広告には、法律で禁止されている表現があります。
ここでは、とくに注意が必要なNG表現を具体例とあわせて紹介します。

性差別表現

男女雇用機会均等法により、性別による差別的な表現は原則として禁止されています。直接的な性別指定だけでなく、間接的に性別を想起させる表現も避ける必要があります。

ただし、次のようなケースでは、性別の指定が認められる例外があります。

●法律で性別が限定されている職業（助産師、巫女など）

●風紀や風習上、性別が限定される職業（モデル、俳優など）

●海外勤務で、相手国の法令により性別が限定される場合

年齢差別表現

雇用対策法により、求人広告での年齢制限は原則禁止されています。ただし、一定の条件を満たす場合のみ例外的に認められます。

性格や心身の特徴を指定する表現

性格や体格など主観的で曖昧な条件は、差別的な取り扱いにつながる恐れがあります。求人広告では、客観的に判断できるスキルや、業務に必要な要件へ言い換えることが大切です。

特定の人を差別・優遇する表現

求人広告で、出身地や国籍、宗教、身体的特徴などによって応募者を制限する表現は法律で禁止されています。公平性を欠く記載は、法的リスクだけでなく企業イメージの失墜にもつながります。

実態とは異なる条件の表現

求人広告に虚偽や誇大な情報を載せることは職業安定法違反となり、入社後のトラブルにも直結します。正確な情報を伝えることが、法令遵守と信頼関係の両方につながります。

根拠あるデータを添えることで、安心して応募できる広告になります。

【チェックリスト】応募が来ない求人広告になっていないか確認しよう

求人広告を作成したら、客観的な視点で効果を検証することが大切です。以下のチェックリストを使って、自社の広告に改善点がないか確認してみましょう。

不備が見つかったら、早めに修正しましょう。効果測定と改善を繰り返すことで、応募が集まる求人広告へと育てていくことができます。

まとめ

効果的な求人広告は、採用成功のカギを握ります。本記事で紹介した4つのステップ（ターゲットの明確化、媒体選び、自社分析、魅力のアピール）と例文に沿って進めれば、求める人材に届く原稿を作成できます。

ただし、求人広告は採用活動の入り口に過ぎません。応募後の対応スピードや面接プロセスの改善、入社後のフォロー体制まで含めた総合的な戦略が欠かせません。

プレイス＆アビリティでは、17期 にわたる採用支援実績をもとに、求人広告の作成から採用プロセス全体の最適化まで幅広くサポートしています。「応募が来ない」「ミスマッチが多い」といった課題をお持ちの企業様は、ぜひご相談ください。